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門馬 悠一郎*; 坂入 正敏*; 上野 文義; 大谷 恭平
材料と環境, 71(5), p.133 - 137, 2022/05
薄い液膜下における鋼の腐食に及ぼす腐食抑制剤の影響を調査した。試料上に1.0-0.2mmの厚さの液膜を形成し、モリブデン酸ナトリウムと乳酸アルミニウム混合液を腐食抑制剤として添加し電気化学測定を実施した結果、腐食抑制剤はアノード反応を抑制すること、および液膜中では完全浸漬に比べて腐食抑制剤による保護層の形態が液量に応じて変化することが示唆された。
青山 高士; 菅原 優*; 武藤 泉*; 原 信義*
Journal of the Electrochemical Society, 166(10), p.C250 - C260, 2019/01
被引用回数:5 パーセンタイル:16.76(Electrochemistry)その場観察機能を備えたすき間腐食試験用フローセル中でSOを含む1MNaCl溶液と、NOを含む1MNaCl溶液を用いてすき間腐食試験を行った。そして、すき間腐食の進展挙動の観察とすき間内溶液分析によって、NOのすき間腐食抑制機構を解析した。その結果NOによるすき間腐食の再不働態化は、すき間開口部での腐食の成長が停止した後に、すき間内部に向かって成長する腐食が停止する二段階の現象であり、前者はNOによる活性溶解の軽減効果、後者はNH生成に伴うpH増加によるものであることが明らかとなった。
槇 彰; 佐本 寛孝; 田口 克也; 佐藤 武彦; 清水 亮; 庄司 賢二; 中山 治郎
JNC TN8410 2001-012, 185 Pages, 2001/04
本資料は、平成13年3月14日に日本原燃(株)六ヶ所事務所にて開催した「第三回東海再処理施設技術報告会」の予稿集、OHP、アンケート結果を報告会資料としてまとめたものである。東海再処理施設技術報告会は、これまでに2回開催されており、第一回は「東海再処理施設の現状、今後の計画」について、第二回は「東海再処理施設の安全性確認作業」について、東海再処理施設においてこれまでに得られた技術・知見等を紹介してきた。今回第三回は、「東海再処理施設の腐食・ISIに関する実績と今後の計画」について東海再処理施設においてこれまでに得られた技術・知見等の報告を行ったものである。
谷口 直樹; 本田 明; 川崎 学*; 舛形 剛*
JNC TN8400 2001-001, 56 Pages, 2000/12
高レベル放射性廃棄物の地層処分における炭素鋼オーバーパックの腐食寿命を評価するうえで、堆積する腐食生成物による腐食への影響を明らかにする必要がある。特に、マグネタイトを模擬腐食生成物として与えると、腐食が加速されるという報告があり、その影響を把握することが重要である。そこで、腐食生成物としてのマグネタイトが炭素鋼オーバーパックの腐食に及ぼす影響を評価することを目的としてマグネタイト共存下での腐食加速再現試験および腐食加速機構の解明のための試験を実施した。その結果、以下のことが確認された。(1)粉末のマグネタイトは炭素鋼の腐食を加速する作用を有する。その主要因はマグネタイト中の3価鉄の2価への還元反応であるが、水素発生反応もある程度加速される。マグネタイト共存下での炭素鋼の浸漬試験では、腐食反応に占める水素ガス発生反応の寄与は30%程度であった。(2)炭素鋼の腐食によって生じたマグネタイトを含む腐食生成物層は炭素鋼の腐食をむしろ抑制する。また、マグネタイトによる腐食の促進を仮定し、実験結果に基づいて1000年間の腐食深さを見積もった。その結果、マグネタイトに起因する腐食深さの増加は1mmにすぎず、これを加えてもトータルの腐食深さは約33mmであり、第2次取りまとめにおいて設定されている炭素鋼オーバーパックの腐食しろの40mmを超えないことがわかった。よって、オーバーパック寿命へのマグネタイトによる腐食加速の影響はほとんど無視できることがわかった。
明石 正恒*; 深谷 祐一*; 朝野 英一*
JNC TJ8400 2000-014, 22 Pages, 2000/02
普通鋼(SM50B)、耐侯性鋼(SMA490AW)、5%Ni鋼の研磨材表面における水素発生反応挙動は鋼種による差は確認されなかった。上記3鋼種に500、1000時間の水蒸気酸化処理を施し、さび層を付与した。さび層は、普通鋼では外層がヘマタイト(Fe2O3)主体、内層はマグネタイト(Fe3O4)主体、耐侯性鋼は外層はヘマタイト(Fe2O3)主体、内層はCrが濃縮したマグネタイト(Fe3O4)主体、5%Ni鋼では3層構造で外層がヘマタイト(Fe2O3)主体、中間層はマグネタイト(Fe3O4)でいづれもAlが低濃度で混入し、内層若干Alが濃縮した高濃度Ni主体の層であった。このさび層付与の3鋼種のカソード分極曲線は、さび層なしの研磨試験片と比べてTafel勾配は変わらないが、反応を水素発生反応と仮定した時の交換電流密度は大きく増大した。いずれの鋼種も表面がマグネタイト主体のさび層で覆われた場合は、カソード反応が加速され、その腐食反応が加速された。
竹内 正行; 石橋 祐三; 大橋 和夫; 永井 崇之; 武田 誠一郎
PNC TN8410 98-078, 36 Pages, 1998/07
(目的)材料腐食に与える線の影響について検討するため、ステンレス鋼の腐食に影響を及ぼす酸化性イオンへの線照射作用について調査する。(方法)再処理環境中の代表的な金属種の中で、高次原子価で存在し得るCr6+,Ce4+,Ru3+を対象に、線を一定の線量率および時間で照射し、溶媒中に存在する金属種の原子価変化を調査した。その際、照射反応に対する溶媒の関与について検討するため、溶媒を純水、硝酸水溶液とした照射試験を行った。(結果)本試験の結果から、得られた知見を以下に示す。(1)硝酸溶液にCr6+,Ce4+の高酸化性イオンが溶存した環境に線を照射した場合、それぞれ還元を受けて、Cr3+,Ce3+に変化する。(2)同様に、吸収スペクトルによる同定結果から、Ru3+への線照射により、初期のRu3+の一部は少なくともRuO42-,Ru8+以外の別の形態へ変化しているものと考えられ、線の還元作用、Ruとニトロ基の親和性等から、Ru2+を主としたニトロシルルテニウム形態に変化している可能性が高い。(3)硝酸溶液系に線照射した場合に生じる高酸化性イオンの還元は主として、放射線分解物の影響によるものと考えられ、高酸化性イオンに線が直接的に作用するのではなく、溶媒を介在した間接的な作用によるものと考えられる。(4)線源60Co、硝酸濃度4N、室温の条件で得られたCr還元に係るG値は1.28であり、同環境で評価されたNOx(0.021)の値よりも極めて大きい。(結論)ステンレス鋼の腐食を促進させる高酸化性イオン共存硝酸溶液に線照射した場合、溶液中の高酸化性イオンが還元を受けることで、線はステンレス鋼の腐食を抑制する方向へ作用する。この線の還元作用は主として、亜硝酸に代表される硝酸の放射線分解生成物の影響によるものと考えられる。
三宅 正宣*
PNC TJ9605 91-001, 28 Pages, 1990/10
本報告書は、『被覆管内面コーティング膜の腐食評価試験』に関する研究の一部として1990年2月20日3月30日の期間に行われた研究の成果をまとめたものである。今回の研究では、フェライト系ステンレス鋼及びコーティングステンレス鋼の内面腐食感受性を評価することを目的とし、模擬FPとして水酸化セシウムを対象とし炉外腐食試験を実施した。得られた結果は、以下のとおりである。(1)オーステナイト系ステンレス鋼2鋼種及びフェライト系ステンレス鋼1鋼種について水酸化セシウムによる腐食試験を温度500700範囲で行った。腐食試験後、オーステナイト系ステンレス鋼では粒界腐食の発生が確かめられた。一方、フェライト系ステンレス鋼では粒界腐食の発生は全く見られなかった。従って、水酸化セシウムに対するステンレス鋼の耐食性は、フェライト系の方がオーステナイト系より優れていると言える。(2)ニッケルーチタンコーティングオーステナイト系ステンレス鋼、チタンコーティングオーステナイト系ステンレス鋼、アルミニウムコーティングオーステナイト系及びフェライト系ステンレス鋼については水酸化セシウムによる腐食試験を温度500700範囲で行った。ニッケルーチタンコーティングオーステナイト系ステンレス鋼、アルミニウムコーティングオーステナイト系及びフェライト系ステンレス鋼ステンレス鋼について水酸化セシウムによる腐食試験を実施したところ、コーティング層の局部剥離は見られたものの、ステンレス鋼母材に粒界腐食は全く生じなかった。チタンコーティングオーステナイト系ステンレス鋼については、粒界腐食の発生が認められた。ニッケルーチタン、アルミニウムコーティングは、ステンレス鋼被覆管母材の粒界腐食防止のためには極めて有益であると考えられる。
大谷 恭平; 上野 文義; 加藤 千明
no journal, ,
本発表では、既存の防錆剤よりも1F環境を想定した環境負荷の小さい腐食抑制剤を開発するため、これまでに腐食抑制剤として着目されていなかった乳酸アルミニウムに着目し、既存の腐食抑制剤であるモリブデン酸ナトリウムと混合することで相乗効果を示すことを明らかにした。XPS分析の結果、炭素鋼表面に数十nmのアルミニウムおよびモリブデンの酸化被膜が形成することで炭素鋼の腐食を抑制していることを見出した。